お金にまつわる過去の清算と借金や税金を放置するデメリット

過去の借金や未納の税金を改めて把握して処理したい

結婚や出産、商売を始めるなど、人生の節目において「過去に放置した借金を清算したい」、「今は返済できなくても金額くらいは把握しておきたい」という人は多いのではないでしょうか。いずれにしても「過去の借金と向き合う」という姿勢は、新たな生活をスタートさせるにあたって重要なことです。ここでは「過去の借金や未納の税金」などについてどう対処するかのヒントをお伝えします。

まだ借入先を覚えている場合は開示請求をする

借金を放置しているといっても、どこで借りたかくらいは覚えている場合は、借りた先の業者へ「取引履歴の開示」を求めれば取引履歴が郵送やFAXなどで開示されます。金融機関が開示請求に応じることは、法律で義務付けられており、大手の消費者金融であれば専用のフォーマットがダウンロードできるようにもなっています。最近では、消費者金融に対して開示請求をする多くの理由が「過払い金返還手続き」のためという場合が多く、先方が警戒する可能性はあります。

借入先や借入額などを忘れてしまった場合

借入先すら忘れてしまった場合は、個人信用情報機関へ照会する必要があります。個人信用情報機関とは、各金融機関が「この人に貸しても大丈夫なのか」という、利用者の信用情報を共有するためにある機関です。キャッシング(融資)やクレジットカードなど、金融機関へ申し込むと、必ず登録され、契約書にも「個人信用情報機関へ登録します」と、その旨が記載されている筈です。際の個人情報(氏名、生年月日、住所、勤務先など)や、「いつ、いくら借りたか」などの利用履歴、返済や滞納履歴なども記録されます。これら個人信用情報機関はいくつかあり、消費者金融がどこへ登録しているのかは、それぞれ異なります。以下に、それぞれの個人信用情報機関を紹介します。全ての借金を把握するには、これらすべての機関に対して開示請求をするしかありません。それぞれのホーム―ページにて「本人開示手続き」の方法が掲載されていますので、参照しながら進めていく必要があります。

JICC

「日本信用情報機構」の略です。一般的な消費者金融が加盟している情報機関です。ほかにも信販系の金融機関も加盟しています。以前はJICという名称でした。最も多くの消費者金融が加盟しているといえるでしょう。郵送のほか、スマートフォンからも開示請求ができます。窓口での請求も郵送による請求も手数料は1,000円です。ちなみに、窓口での開示請求であれば手数料は500円ですが、窓口自体が東京と大阪の2カ所しかありませんので、遠方の人は郵送かスマートフォンによる請求が便利です。

全国銀行個人信用情報センター

略称で「KSC」とも呼ばれ、全国銀行協会が運営しています。銀行や信用金庫などが加盟できる情報機関で、銀行や農協、信用金庫などでローンを組んだりお金を借りた際に、その情報が登録されます。銀行が発行するカードローンへ申し込んだ際も登録され、レイク(新生銀行)やバンクイック(三菱東京UFJ銀行)などが該当します。開示手続きは、郵送のみとなります。

CIC(株式会社シーアイシー)

クレジットカードを作ると必ずといっていいほど登録される情報機関です。全国(東京、北海道、名古屋、大阪、岡山、仙台、福岡)に窓口があり、窓口でなら手数料500円で開示請求が可能です。郵送の場合は1,000円です。

結婚すると債権者に見つかる理由

住民票を移動せずに債権者から逃げ続けていても、現住所を突き止められるタイミングがあります。最も多いのが、結婚して入籍したタイミングです。借金を放置していた人の多くは、住民票を実家から現住所へ移動せずに過ごしてきたというケースが多く、この様な状態では、債権者側としても追及しようがありません。消費者金融などからの借金を返済せずに放置したまま長い時間が経つと、借入れ時に提出した運転免許証の住所や申込書類の住所、電話番号、勤務先など、あらゆる情報が「過去のもの」となり、催促も出来ず、法的手段に訴えようとも「訴状すら見ることもない」という人は意外にも多いものです。この様に「現在の住所や勤務先」を債権者に知られることなく生活を続けて「過去に借金があったことなんてすっかり忘れてしまう」という人も、入籍をすると、新しく戸籍を作って住民登録をし、世帯主となります。そうすると、定期的に役所で住民票の移動があったかを調べている債権者側は、すぐに「現住所」を突き止めます。大体、入籍して新居にて生活をスタートした直後(2~3か月後くらい)です。

会社を作ると過去の債権者に見つかるか?

前述した「結婚のタイミング」と同様に、会社を設立した場合、過去の借金はどの様に影響するのかを心配する声も多くあります。まず会社を作る=法人を設立するということは、疑似的な人を作るという意味があり、「会社」と「代表者個人」は区別して考えられ、法的な責任も個人と区別されます。会社が倒産しても会社が負った何十億円の債務を社長が返済しなければならない」ということはありません。もっとも、社長個人が会社の連帯保証人となったり、自宅を担保に入れているなど、実際には無関係で済まないケースの方が多いことは確かですが、社長個人がその様な行為をしなければ、基本的には「会社の債務はあくまで会社の債務」であることには変わりありません。この前提を踏まえると、逆に言えば、個人で作った過去の借金が、起業して会社の代表取締役となったからといって会社へは影響しないのです。まったく関係ありません。しかし、債権者に居所がばれる可能性はあります。あくまで可能性です。会社を設立し、法人登記をすると、履歴事項証明書(登記簿謄本)に、代表取締役の住所を記載しなければなりません。この履歴事項証明書は、法務局へ行けば誰でも閲覧したり写しを取得できます。債権者は、定期的に調査をするなかで、債務者の個人名をネット検索するかもしれません。会社のホームページにある会社概要欄などで氏名が掲載されていれば、「ひょっとしたら」と更に深堀りして調査をするために、履歴事項証明書を取得する可能性はあります。これに関しては、消費者金融が依頼した債権回収業者やその回収業者が依頼した探偵会社などによりますので、必ずしもこの様な調査がされる訳ではありません。そもそも、いくら会社の代表者欄で名前を見つけたからといって、同姓同名の可能性もありますので、債権者の持つ手がかり(申込時の住所など)と照らし合わせて確証がなければ、そこまでする可能性は低いといえます。

過去の無申告はどうなる?借金よりも怖い税の無申告

ある意味借金よりも放置すると怖いのが、税金の未納です。税金だけはあらゆる債務と異なり、自己破産での免責対象となりません。所得税の申告について、すでに開業している人も、これから開業する人も、過去の無申告について心配する声をよく聞きます。もちろん納税は国民の義務とされており、放置したままというのは許されません。よくあるのが、何となく仕事を請けるようになり、気がついたらフリーランスの状態だったというケースです。例えば、ちょっとしたプログラムを組むことができるので、知り合いの会社から数万円程度の仕事をお小遣い稼ぎ程度の感覚で請け負い、「確定申告しなくてもよい程度の収入しかなかった状況が続き、年々仕事が増えて会社も辞め、年間の売上が数百万円となったものの、フリーランスや自営業という自覚がなく現在に至る」という様な場合です。

確定申告をするべき人おさらい

このように、サラリーマンをしながら、お小遣い稼ぎの感覚で副業を始めた、という様なケースでありがちなのが、「はじめは確定申告をしなくてもよい程度の額しか収入がなかった」場合です。それでは、確定申告の義務はどこから発生するのでしょうか。金額としては20万円がボーダーラインとなります。ご存知の方も多いかと思いますが、副業もしていないサラリーマンが確定申告をする理由の多くは、何かしらの「控除」が発生しそうな場合です。代表的なものは、年間を通して医療費が10万円を超えた場合、超えた分の金額が還ってくる「医療費控除」や、盗難や火災などの被害額を一部計上できる「雑損控除」など、主に、還付のために行なうケースがほとんどです。これら控除とは無関係で、副業をしている人は、その所得が20万円以下であれば確定申告の義務が発生しません。無申告状態に陥る多くの人は、「まさかこんなに収入が増えるなんて思っていなかった」というケースが多いようです。

無申告がネックで開業に踏み出せない人

この無申告を放置したツケが回ってくることが心配で、開業届を出したり、法人を設立することを躊躇する人がいます。この無申告をどう処理するべきでしょうか。結論からいうと、遡って支払うことになりますが、まず知っておきたいのが、「無申告加算税」と「追徴課税」、そして、延滞税についてです。意図的な所得の隠ぺいなど、悪質な場合は「無申告加算税」ではなく「重加算税」となり、35%~40%が加算されます。意図的な隠ぺいではない、無申告加算税についても、税務調査によって無申告が発覚した場合、納税額のうち50万円までの部分は15%、納税額のうち50万円を超える部分は20%と、高額な加算税を納めることになります。ただし、期限後であっても税務調査を受ける前に自ら申告した場合の無申告加算税は、5%とされる可能性があり、これは、法律(国税通則法第六十六条)で定められています。ここでポイントとなるのが、「税務調査を受ける前か後か」の違いが大きいという点です。放置しておいて、あとから税務調査などで発覚する前に、自ら申告しておいた方がよいと言えるでしょう。無申告で放置していた所得税を計算した結果、課税所得が仮に300万円だった場合、本来の納税額は、税率10%なので(税額300,000円ー控除97,500円)、202,500円となります。これに加え、無申告加算税(自ら相談しに行き5%となった場合+15万円)がかかりますので、およそ35万円以上を納めることになります。これが、税務調査後に発覚すると、無申告加算税は15%や20%となり、大変な額を支払うことになります。

そもそも個人へ税務調査は来るのか

よく、「個人に対しては滅多に税務調査は来ない」という噂をネットで見かけますが、そんなことはありません。個人は調査が入らない、金額が低ければ入らない、などということはなく、実際に年収で300万に満たない個人事業主の無申告に対して税務調査が入った事例も多数あります。小規模な個人事業主が調査の対象となるきっかけのひとつとして、法人から仕事を請け負っている場合が挙げられます。もし、取引先の法人が税務調査を受けた場合、調査官は外注費に関して厳しくチェックしていきます。その外注先(振込先)としてリストに入っている個人事業主へも、場合によっては「反面調査」といい、関係者への調査も開始されることがあります。この反面調査の対象となったことがきっかけで、個人でも税務調査を受けることがあるのです。このとき、無申告が溜まっていると、いろいろな指摘を受けた結果、「無申告加算税」を納めることになります。一方で、「分かっていても、大金は一気に支払えないよ」という人もいます。税務署は、過去の無申告であっても、自ら出向いて申告しに来た人に対していきなり「一括納税しかみとめません」「納められないのなら強制執行します」というような対応をすることはありません。多くの人は、相談した結果、分割で支払うことが認められています。くれぐれも「無申告」は、思いついたらすぐに相談しましょう。いきなり税務署へ行くのは怖いという人もいるかも知れません。そういう人は、地域の「税理士会」が無料で開催している税務相談室を利用するとよいでしょう。専門の知識がないと、単純に収入=所得という風に計算してしまい、経費計上をしていなかったりします。税理士へ相談する際には、自分自身で過去の収支を計算したものやその根拠となる資料(銀行の通帳や領収書など)をまとめておく必要があります。過去の収支が分かる資料を元に計算してみると、意外と「思っていたよりも少なくすんだ」という話もあります。相談室の多くは無料ですので、大体30分以内という時間制限はありますが、「無申告に関して、自分の場合はどうなる」といった不安を少しでも解消できるかと思います。電話での相談を受けつけている税理士会もありますので、是非活用しましょう。